結論:まず何をすべきか?
買う前の3ステップ
- 裏面の全成分表示を見る — 「DNA-Na」「加水分解DNA-Na」「加水分解DNA」のいずれかが実際に記載されているかを確認します。表面に大きく「PDRN」と書かれていても、裏に該当表示がなければ配合根拠が確認できません。
- 記載順(位置)を見る — 化粧品の全成分表示は、原則として配合量の多い順に記載する決まりです(1%以下の成分は順不同で記載可)。上位にあるか、末尾のほうにあるかで、おおよその立ち位置が推測できます。
- 「PDRN配合」の横に配合目的が書かれているか確認する — 厚生労働省の通知「化粧品における特定成分の特記表示について」(医薬監麻発0310第3号・2025年3月10日)により、特定成分を強調表示する場合は配合目的の併記が求められています。「PDRN配合(保湿成分)」のような書き方が基本形です。
迷ったときの分岐は「悩みの種類」で決まる
「肌再生」「ターンオーバー促進」「幹細胞が活性化」といった表現が化粧品広告に出てきたら、その時点で表現が過剰です。化粧品が標榜できる効能効果は厚生労働省通知(薬食発0721第1号・2011年)の56項目に限られており、再生や細胞レベルの作用は含まれていません。
DNA-Naとは何か?PDRNとどう違うのか?

表示名称としてのDNA-Naと加水分解DNA-Na
PDRN・PNという呼び名の位置づけ
原料としての実態
「高純度99%」「植物由来PDRN」といった表記は、何の純度なのか(粉末中のDNA-Na含有率なのか、抽出物としての純度なのか)が製品ごとにバラバラです。基準が統一されていないため、数字だけを製品間で比べても意味が薄いのが実情です。比べるなら「配合率(%またはppm)」のほうがまだ手がかりになります。
DNA-Naコスメと医療用PN製剤は何が違う?
| 比較項目 | DNA-Naコスメ | 加水分解DNA-Naコスメ | 医療用PN製剤(リジュラン等) |
|---|---|---|---|
| 製品表示上の呼び名 | PDRN / サーモンDNA | PDRN / 低分子PDRN | PN / ポリヌクレオチド |
| 全成分表示での法定表示名称 | DNA-Na[注1] | 加水分解DNA-Na/加水分解DNA[注1] | (化粧品ではないため全成分表示なし) |
| 由来 | サケ白子[注2] | サケ白子(加水分解処理)[注1] | サケ由来ポリヌクレオチド |
| 想定分子量帯 | 高分子寄り | 低分子寄り | 製剤により規定 |
| 到達層 | 角層まで | 角層まで | 真皮に直接注入 |
| 1回あたりの成分量 | 約5mg(0.5mL×1%)[注3] | 約5mg(0.5mL×1%)[注3] | 40mg/本(2mL・20mg/mL)[注4] |
| 法的区分 | 化粧品 | 化粧品 | 国内未承認・医師の個人輸入[注4] |
| 標榜できる効能 | 56項目の範囲内(保湿等)[注5] | 同左[注5] | 自由診療としての説明(広告は医療広告GL準拠)[注6] |
| 副作用被害救済制度 | 対象外(化粧品は元来対象外) | 対象外 | 対象外(未承認・個人輸入品)[注7] |
| 年間費用の目安 | 約30,360円[注3] | 同程度 | 約9万〜18万円[注8] |
リジュラン等のPN製剤は、2026年9月時点で国内承認されていません。医師が個人輸入した医薬品を用いる自由診療にあたります。この点は費用や効果以前に、後述する救済制度の話に直結します。
1年でどれだけ肌に入る?量を計算して比べる
コスメ側の計算
- 1本あたりのDNA-Na量:30mL × 1% = 約300mg(比重を1と仮定)
- 1回0.5mLを朝晩使用 → 1日1mL=1日あたり約10mg相当を「肌にのせる」計算
- 30mLを1日1mLで使うと約30日=月1本ペース
- 年間費用:2,530円 × 12本 = 30,360円/年
注射側の計算
- 1本40mg(2mL × 20mg/mL)× 2本 = 1回80mgを真皮へ
- 年3回 → 80mg × 3 = 240mg/年
- 年間費用:3万〜6万円 × 3回 = 9万〜18万円/年
この計算で言えること・言えないこと
塗布量は注入量と同じではありません。皮膚に塗ったDNA-Naがどれだけ角層を越えて届くのかを示す公表データは確認できておらず、経皮吸収率は不明です。したがって「年間300mg塗る=年間240mg注入するのと同等」という換算は成り立ちません。総量が近く見えても、届く深さが違う以上、体験も結果も別物になり得ます。
試験条件と市販品の濃度ギャップ
PDRN化粧品は効果ないと言われるのはなぜ?
原因1:期待している効能が化粧品の枠外にある
原因2:評価期間が短すぎる
原因3:濃度と使用量が試験条件に届いていない
原因4:悩みの原因がそもそも保湿系ではない
リジュランと化粧品の違いで一番大事な点は何か?
未承認医薬品と救済制度
医療広告ガイドラインが求める4つの開示
- 未承認である旨
- 入手経路(個人輸入か等)
- 国内承認医薬品等の有無
- 諸外国での安全性に関する情報
制度は今まさに変わりつつあります
美容医療サービスに関するPIO-NET相談件数は、2023年度6,281件から2024年度10,744件へと約1.7倍に増加しました(国民生活センター「美容医療サービス」2026年7月31日更新時点。2025年度は7,944件)。
相談件数の増加は「施術が危険」という意味ではなく、契約・説明・費用をめぐるトラブルを含む総数です。ただし、無料カウンセリングの場でその日のうちに高額コースを契約するのは避け、一度持ち帰って検討することをおすすめします。
PDRNで失敗しない10項目チェックリスト
コスメ編(4項目)
- 全成分表示に「DNA-Na」「加水分解DNA-Na」「加水分解DNA」が実際に記載されているか(根拠:Cosmetic-Info.jp/日本化粧品工業会 成分表示名称リスト https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=11873 )
- 記載位置は上位か下位か(全成分表示は原則として配合量の多い順。1%以下は順不同で記載可のため、位置は目安として読む)
- 「PDRN配合」の特記に配合目的が併記されているか(根拠:厚生労働省「化粧品における特定成分の特記表示について」医薬監麻発0310第3号・2025年3月10日 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9762&dataType=1&pageNo=1 )
- 「肌再生」「ターンオーバー促進」など56効能を超える表現が使われていないか(根拠:厚生労働省 薬食発0721第1号・2011年 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/kesyouhin_hanni_20111.pdf )
クリニック編(6項目)
- サイトに「国内未承認である旨」の記載があるか
- 入手経路(個人輸入・並行輸入等)が明記されているか
- 国内承認医薬品等の有無の記載があるか
- 諸外国での安全性に関する情報の記載があるか
- 「医薬品副作用被害救済制度の対象外」である旨の説明があるか(根拠:PMDA「対象除外医薬品等」2025年 https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0044.html )
- 費用総額・必要回数・主なリスク/ダウンタイムが提示されているか(1回料金だけでなくコース総額の確認を)
あなたはコスメで足りる?クリニックへ行くべき?
判定チャート
- 乾燥・キメ・くすみ → 終点A:DNA-Naコスメで継続(3か月を1単位として評価)
- 構造的な変化 → Q2へ
- 年3万円以内 → 終点A:DNA-Naコスメで継続、または保険適用の可能性がある症状なら終点B
- 年10万円超も可 → Q3へ
- 確保できない → 終点A(時期を改めて再検討)
- 確保できる → Q4へ
- できない・迷う → 終点B:まず保険診療の皮膚科で相談
- 理解した上で検討したい → Q5へ
- 明示されていない → 別の医療機関を探す(終点Bも検討)
- 明示されている → 終点C:未承認PN注射を検討(前掲の10項目チェックリストを持参)
3つの終点の中身
- 終点A:DNA-Naコスメで継続 — 年間約3万円。角層の保湿・整肌を目的に3か月単位で評価します。変化がなければ成分を変えるより悩みの原因を見直すほうが有効です。
- 終点B:まず保険診療の皮膚科で相談 — ニキビ、湿疹、酒さ、色素性病変など、保険診療で対応できる疾患が背景にあるケースは珍しくありません。自由診療に進む前の切り分けとして費用対効果が高い選択です。
- 終点C:未承認PN注射を検討 — 年間約9万〜18万円。10項目チェックリストを持参し、費用総額・回数・リスク・合併症相談先を確認した上で、その場で即決せず持ち帰って判断します。
終点AとCは排他ではありません。施術を受ける人が日常のスキンケアで保湿を続けることには意味があります。ただし「コスメを増やせば施術の回数を減らせる」という関係を示すデータは確認できていません。




