脂性肌のスキンケアで最初にすべきことは、洗顔を1日2回までに減らし、水分と油分を分けて保湿することです。皮脂の分泌量は「落としすぎた分を補おうとする反応」でも増えるとされており、ケアを足すより先に「やりすぎを引く」ほうが改善につながるケースが多く報告されています。
この記事では、脂性肌のスキンケアがうまくいかない原因を、皮脂量そのものの問題・インナードライ(乾燥由来)・ホルモンや生活習慣・製品選びの4方向に分けて整理します。そのうえで、自宅でできる手順、皮膚科での保険診療、美容医療(自費)の費用とダウンタイムまで、判断に必要な材料をまとめます。
本記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療の代わりにはなりません。効果や適応には個人差があり、同じケアでも合う方と合わない方がいます。炎症を伴うニキビ、痛み、急な皮脂量の変化がある場合は、自己判断でケアを続けず皮膚科の受診をご検討ください。
結論:脂性肌のスキンケアでまず何をすべきか
脂性肌でまずすべきことは、洗顔の見直し・保湿の再設計・触らない習慣の3つです。この順番で2〜4週間続け、変化がなければ皮膚科で相談する流れが現実的とされています。
新しい化粧品を足すより、いまのケアから引くほうが先です。脂性肌の方の多くは「テカる=汚れている」と考えて洗浄と収れんを強めますが、それが皮脂の過剰分泌や肌荒れの引き金になっている場合があります。
まず取り組む3ステップ
最初の2週間は「引き算」に徹します。判断材料を1つずつ確認するためです。
- 洗顔を1日2回までにする:朝はぬるま湯または低刺激の洗顔料、夜はメイクや日焼け止めを落とす洗顔。日中のテカリはあぶらとり紙やティッシュで押さえる程度にとどめます。
- 保湿を「水分多め・油分少なめ」に組み替える:化粧水のあと、乳液やジェルなど軽いテクスチャーの保湿剤を薄く重ねます。「脂性肌だから保湿しない」は、かえって皮脂が増える一因になるとされています。
- 顔を触らない・こすらない:指で皮脂を確認する、ニキビを潰す、タオルでゴシゴシ拭く、といった摩擦を止めます。タオルは押さえるだけにします。
2〜4週間で判断する理由
肌の状態を評価するには、最低でもターンオーバー1周期分の観察が必要とされています。
皮膚のターンオーバーは一般に約4〜6週間(年齢や部位で変動)とされ、数日でケアを次々に変えると、何が効いたのか判断できなくなります。変えるのは1回につき1要素、観察期間は2〜4週間を目安にしてください。
記録が最短ルートです。スマホで「起床直後・帰宅時」の同じ角度・同じ照明で顔の写真を撮り、日付とその日のケア内容をメモしておくと、変化の有無を主観に頼らず確認できます。皮膚科受診時にもそのまま資料として使えます。
脂性肌になる主な原因は何ですか?

脂性肌の主な原因は、性ホルモンの影響・遺伝的な皮脂腺の性質・乾燥による代償反応・生活習慣(睡眠、食事、ストレス)の4つとされ、多くの方はこれらが重なっています。
原因ごとに打ち手が変わります。ホルモンや体質は自宅ケアで動かしにくく、乾燥や習慣は自分で改善できる余地が大きい領域です。
原因1:ホルモンの影響(動かしにくい要因)
皮脂腺はアンドロゲン(男性ホルモン)の影響を受けて活動が高まるとされています。
男性ホルモンは男女ともに分泌され、思春期以降に皮脂分泌が増える主要因と考えられています。女性では月経周期に伴い、月経前に皮脂やニキビが増えると感じる方が少なくありません。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でも、痤瘡(ニキビ)の発症には皮脂の過剰分泌が関与するとされています。
この領域はスキンケアだけで大きく変えるのは難しく、症状が強い場合は医療機関での相談が現実的です。
原因2:遺伝・体質による皮脂腺の性質
皮脂腺の数や大きさには個人差があり、体質的にテカりやすい方がいます。
家族に同様の肌質の方が多い、思春期からずっと同じ傾向が続いている、という場合はこのタイプの可能性があります。体質はゼロにできませんが、コントロールはできます。目標を「皮脂を出さない」から「日中の不快感と毛穴・ニキビを減らす」に置き換えると、ケアの評価がしやすくなります。
原因3:乾燥による代償(インナードライ)
表面はテカるのに内側は乾いている状態で、洗いすぎ・保湿不足が引き金になります。
角層の水分が不足するとバリア機能が低下し、皮脂で補おうとする反応が起こると説明されることが多い状態です。「1日3回以上洗顔している」「洗顔後につっぱるのに夕方はテカる」という方は、この可能性を先に疑ってください。対処は逆説的ですが、洗浄を弱め、保湿を足すことです。
原因4:生活習慣(睡眠・食事・ストレス)
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを介して皮脂に影響するとされています。
食事については、高GI(血糖値を上げやすい)食品や乳製品とニキビの関連を示す研究がありますが、影響の大きさには個人差があり、特定の食品を絶てば改善すると断定できるものではありません。まずは睡眠時間の確保と、糖質に偏った食事の頻度を下げるところから試すのが現実的です。
「季節でテカリ方が変わる」のは自然な現象です。気温が上がると皮脂分泌は増える傾向にあり、夏と冬で同じケアを続けると、夏は過剰、冬は不足になりがちです。季節ごとに保湿剤のテクスチャーを変える前提で考えると無理がありません。
本当の脂性肌とインナードライ、どちらか見分ける方法は?
洗顔後20〜30分放置して、頬がつっぱるならインナードライ、Tゾーンだけでなく頬も早くテカるなら本来の脂性肌の可能性が高いとされています。
自己判断の精度には限界がありますが、ケアの方向性を決める目安にはなります。以下のチェックを、洗顔後に何もつけない状態で行ってください(乾燥や刺激を感じたらすぐ中止し、保湿してください)。
セルフチェックの手順
- 夜、いつもの洗顔をしてタオルで押さえて水気を取る
- 何もつけずに20〜30分待つ
- 頬・額・鼻・あご・口まわりの状態を確認する
- その後は必ず通常どおり保湿する
タイプ別の判定と方向性
| チェック結果 | 推定タイプ | ケアの方向性 |
|---|---|---|
| 顔全体が早くテカる/毛穴が全体的に目立つ | 脂性肌(オイリー) | 洗浄は適度に保ち、軽い保湿+皮脂対策成分 |
| Tゾーンはテカるが頬・口元はつっぱる | 混合肌 | 部位で使い分け(頬はしっかり、Tゾーンは軽く) |
| 全体につっぱるのに夕方だけテカる | インナードライ | 洗浄を弱め、保湿を厚めに。回数も減らす |
| 赤み・ヒリつき・粉ふきを伴う | 敏感傾向あり | 自己判断のケア強化は中止し皮膚科へ |
見分けがつかないときの考え方
迷ったら「保湿寄り」から始めるほうが、リスクが小さいとされています。
洗浄と収れんを強める方向は、判断を誤ったときのダメージ(バリア機能低下、赤み、悪化したテカリ)が大きくなりがちです。逆に保湿を足す方向は、合わなければニキビが出るなど比較的早く気づけます。まず保湿寄りで2週間試し、明らかに重い・詰まると感じたらテクスチャーを軽くする、という順序が安全側です。
赤み、痛み、膿を持つニキビ、急激な皮脂量の変化がある場合は、セルフチェックより先に皮膚科を受診してください。脂漏性皮膚炎や酒皶など、スキンケアでは改善しない疾患が隠れていることがあります。
具体的な解決方法:自宅ケアの手順と選び方
脂性肌の自宅ケアは、洗顔・保湿・日中の対処・成分選びの4点に絞ると管理しやすくなります。効果を感じるまでの目安は2〜4週間、毛穴の見え方は3か月程度かかることもあります。
洗顔の具体的な手順
洗顔は「回数を増やす」より「摩擦を減らす」ほうが結果につながりやすいとされています。
- ぬるま湯(32〜34℃目安)で予洗い:熱いお湯は必要な皮脂まで奪い、乾燥を招きます。
- 洗顔料をしっかり泡立てる:泡がクッションになり、指と肌の摩擦を減らします。泡立てネットの使用が手軽です。
- Tゾーンから洗い、頬は最後に軽く:皮脂の多い部位に時間をかけ、乾燥しやすい頬は短時間にします。
- すすぎは20回以上、生え際とフェイスラインまで:すすぎ残しは毛穴詰まりの原因になります。
- タオルは押さえるだけ:こすらず、水分を吸わせるイメージです。
朝は皮脂の量に応じて、洗顔料を使うかぬるま湯だけにするかを調整します。朝につっぱる方は、ぬるま湯洗顔に切り替えて2週間様子を見てください。
保湿の組み立て方
脂性肌の保湿は「油分を減らし、水分保持成分を選ぶ」のが基本です。
化粧水で水分を入れ、その上から軽い乳液やジェルでふたをします。「ベタつくから何もつけない」は、乾燥→皮脂過剰の悪循環につながりやすい選択です。逆に、油分の多いクリームをTゾーンに厚く塗ると毛穴詰まりの原因になり得ます。部位ごとに量を変えるのが実践的です。
成分の選び方(目的別)
目的を先に決めてから成分を選ぶと、製品選びで迷いにくくなります。
| 目的 | 代表的な成分 | 使い方の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 皮脂・毛穴詰まり対策 | サリチル酸(BHA)、グリコール酸(AHA) | 週1〜2回から開始 | 刺激・乾燥が出やすい。日焼け止め必須 |
| 皮脂量・キメの調整 | ナイアシンアミド | 毎日、朝晩どちらでも | 高濃度品は赤みが出る方も |
| ニキビ対策(市販) | イオウ、グリチルリチン酸2K、アダパレン等(第2類医薬品) | 製品の用法どおり | 乾燥・皮むけが起こりやすい |
| 水分保持 | ヒアルロン酸、グリセリン、セラミド | 毎日 | 重さを感じたら量を減らす |
| 皮脂酸化・毛穴の黒ずみ対策 | ビタミンC誘導体 | 毎日〜隔日 | 濃度により刺激感あり |
新しい成分は1つずつ、2週間空けて追加してください。同時に複数を始めると、合わなかったときに原因を特定できません。
日中のテカリ対処
日中は「洗い直す」より「押さえる・重ねる」ほうが皮脂の増加を招きにくいとされています。
あぶらとり紙は使いすぎると皮脂を取りすぎるため、1日2回程度までを目安に、ティッシュで軽く押さえる方法と併用します。日焼け止めは皮脂で崩れやすいため、ジェルタイプやオイルフリーの表示があるものを選び、日中はパウダーで押さえて重ね直すと崩れにくくなります。
化粧品を変える前に「洗顔回数・お湯の温度・摩擦・すすぎ残し」の4点を点検してください。この4点だけで改善する方が一定数います。費用がかからず、リスクもほぼありません。
美容医療は必要?費用とダウンタイムの目安
自宅ケアを2〜3か月続けても皮脂やニキビが改善しない場合、皮膚科の保険診療から検討するのが費用面で合理的とされています。美容医療(自費)は費用が高く、効果にも個人差があります。
まず保険診療、次に自費という順序
ニキビ(尋常性痤瘡)や脂漏性皮膚炎は、健康保険が使える診療対象です。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬が炎症性・非炎症性の皮疹に対して推奨されています。これらは保険適用で、3割負担なら初診料等を含めても数千円程度から始められることが一般的です。皮脂そのものよりニキビが主訴なら、まず皮膚科の受診が費用対効果の面で有利です。
自費診療の費用とダウンタイムの目安
以下は一般的に案内されることの多い費用帯で、クリニック・地域・使用機器により幅があります。契約前に必ず総額と回数、追加費用の有無を確認してください。
| 施術 | 費用の目安(1回) | 回数の目安 | ダウンタイム | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| ケミカルピーリング | 5,000〜15,000円 | 2〜4週ごと・複数回 | 数時間〜数日の赤み・皮むけ | 刺激感、色素沈着、乾燥 |
| イオン導入(ビタミンC等) | 3,000〜10,000円 | 月1〜2回 | ほぼなし | 一時的な赤み |
| ダーマペン等の針治療 | 15,000〜40,000円 | 3〜6回 | 2〜7日の赤み・かさぶた | 一時的な悪化、色素沈着、感染 |
| 内服(イソトレチノイン等の自費治療) | 月10,000〜30,000円程度 | 数か月〜 | 唇・皮膚の乾燥が持続 | 強い乾燥、肝機能・脂質への影響、催奇形性 |
イソトレチノイン等のレチノイド内服は、日本では保険適用外(自費・自由診療)で、妊娠中・妊娠可能性のある方には使用できないなど厳格な管理が必要とされています。避妊や定期的な血液検査を含む管理が前提となるため、必ず医師の詳細な説明を受けたうえで判断してください。効果・副作用の出方には個人差があります。
効果に個人差がある前提で判断する
施術は「皮脂をゼロにする」ものではなく、状態を整えて維持しやすくするものです。
1回で劇的な変化を期待すると、費用だけがかさむ結果になりがちです。カウンセリングでは「何回で・総額いくらで・どの状態を目指すのか」「効果が出なかった場合の方針」を必ず確認してください。強引に高額コースを勧める、リスク説明が曖昧、といった対応が見られる場合は契約を保留し、別のクリニックの意見も聞くことをおすすめします。
順序は「自宅ケアの引き算 → 皮膚科の保険診療 → 必要に応じて自費診療」です。この順に進めると、費用とリスクを抑えながら判断材料を増やせます。
ケース別の対処法(年代・悩み別)
同じ脂性肌でも、20代・30代・40代、そして悩みの種類によって優先順位が変わります。ここでは代表的な4ケースの進め方を示します。
ケース1:20代・皮脂とニキビが同時に出る
炎症のあるニキビが複数ある場合は、スキンケアの調整より皮膚科の受診を優先します。
炎症性のニキビを自己流のケアで長引かせると、赤みや凹凸が残るリスクが上がるとされています。市販品で1か月改善しないなら受診が目安です。並行して、洗顔回数の見直しと、ノンコメドジェニックテスト済みの表示がある製品への切り替えを行います。
ケース2:30代・テカるのに小じわも気になる
この場合は混合肌またはインナードライの可能性が高く、部位別ケアが有効です。
Tゾーンは軽いジェル、頬と目元はセラミド配合のクリームというように、1つの製品で全顔をまかなうのをやめます。手間は増えますが、「全体を保湿すると詰まる」「全体を軽くすると乾く」というジレンマを解消できます。
ケース3:40代・皮脂は減らないのに毛穴が縦に伸びてきた
毛穴の「たるみ型」の可能性があり、皮脂対策だけでは改善しにくい領域です。
加齢に伴い皮膚の弾力が低下すると、毛穴が涙型・楕円形に見えるようになります。この場合、洗浄を強めても変化は期待しにくく、紫外線対策とレチノールなどのエイジングケア、必要に応じて医療機関での相談が現実的な選択肢になります。毛穴の悩みは「詰まり」「開き」「たるみ」で対処が異なります。
ケース4:マスク・季節でテカリが悪化する
環境要因が主因の場合、製品よりも「頻度と重ね方」の調整が効きます。
蒸れる環境では、朝の保湿を軽くし、日中にパウダーで押さえる方式に切り替えます。帰宅後は早めにメイクを落とし、就寝前にしっかり保湿します。夏と冬で保湿剤を替える前提でストックを持っておくと、季節の変わり目に慌てずに済みます。
どのケースでも、変更は1回に1つまでです。洗顔料と保湿剤と美容液を同時に変えると、良くなっても悪くなっても原因が分かりません。急がば回れが結果的に最短になります。
予防・再発防止のコツ
脂性肌のコントロールは、良い状態を維持する仕組みづくりが要です。睡眠・紫外線対策・記録の3点を習慣にすると、悪化のきっかけを早く見つけられます。
生活面で優先度の高い3つ
- 睡眠時間を確保する:睡眠不足はホルモンバランスやストレス反応を介して皮脂・肌荒れに影響するとされています。ケア用品を買い替える前に、就寝時間を30分早めるほうが効くこともあります。
- 紫外線対策を通年で行う:紫外線は皮脂の酸化や毛穴の目立ちに関与するとされ、脂性肌でも日焼け止めは必要です。ベタつきが苦手ならジェルタイプや化粧下地兼用を選びます。
- 記録を残す:写真とケア内容のメモを続けると、悪化の直前に何を変えたかが分かります。
環境・道具の見直し
肌に触れるものを清潔に保つだけでも、悪化要因を減らせます。
枕カバーは週2回程度の交換、スマホ画面の清拭、洗顔後のタオルを使い回さない、といった点は費用がかからず実行できます。メイクブラシやパフも定期的に洗浄してください。
良くなったあとにやりがちな失敗
改善したタイミングでケアを一気に緩める、または強める方が多くいます。
「治ったからもう保湿はいらない」と保湿をやめると、乾燥から皮脂が戻ることがあります。逆に「効いているからもっと」とピーリングの頻度を上げると、刺激で悪化することがあります。良い状態が続いているときは、現状維持が最良の選択です。
予防の本質は「変えないこと」と「記録すること」です。良い状態のケアを固定し、悪化したときに何が変わったかを追える状態にしておけば、対処が早くなります。
専門家・公的情報はどう説明していますか?
公的機関や学会は、脂性肌そのものより「ニキビ(尋常性痤瘡)」「脂漏性皮膚炎」といった疾患単位で情報を示しており、自己判断での過度なケアより医療機関での相談を推奨しています。
学会ガイドラインの位置づけ
日本皮膚科学会は「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」を公開しています。
同ガイドラインでは、ニキビの治療としてアダパレンや過酸化ベンゾイル等の外用薬が推奨され、症状に応じて抗菌薬の内服等が検討されるとされています。市販のスキンケアだけで対応しようとするより、炎症を伴う場合は保険診療の枠組みで治療する選択肢があることを知っておく価値があります。
尋常性痤瘡は皮脂分泌の亢進、毛包漏斗部の角化異常、Cutibacterium acnes の増殖などが関与するとされ、病期に応じた治療が推奨されています。(日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」より要旨)
広告表現に関する行政のルール
化粧品の効能効果には、法令で表示できる範囲が定められています。
医薬品医療機器等法(薬機法)および厚生労働省の「化粧品の効能の範囲」により、化粧品が標榜できる効能は56項目に限定されています。「皮脂の分泌を抑える」「ニキビを治す」といった表現は、化粧品では原則として認められません。「これを使えば皮脂が止まる」といった広告は、表現自体が適切でない可能性があります。
また、消費者庁は景品表示法に基づき、美容関連の広告における優良誤認表示について繰り返し注意喚起を行っています。ビフォーアフター画像や「〇日で改善」といった訴求を見た際は、条件表示や個人差の注記を確認してください。
美容医療の相談窓口
消費者トラブルが生じた場合の公的な相談先があります。
国民生活センターは、美容医療サービスに関する相談(高額な契約、説明不足、施術後のトラブル等)を受け付けており、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります。契約前の不安がある段階でも相談は可能です。
クリニックの説明で「リスクはありません」といった断定的な表現があった場合は、慎重に判断してください。医療行為である以上、程度の差はあれ副反応の可能性は存在します。書面での説明とクーリング・オフの可否(特定継続的役務提供に該当する契約の場合)も確認してください。
やってはいけないNG対応
脂性肌で悪化を招きやすいのは、洗いすぎ・脱脂しすぎ・保湿の省略・自己流の刺激ケアの4つです。いずれも「皮脂を減らしたい」という動機から起こります。
NG1:1日3回以上の洗顔・熱いお湯での洗顔
洗浄回数を増やすほど皮脂が減る、という関係は成り立ちません。
必要な皮脂膜まで奪うとバリア機能が低下し、乾燥と皮脂過剰を同時に招く可能性があります。40℃以上の熱いお湯も同様です。原則1日2回、ぬるま湯を守ってください。
NG2:あぶらとり紙の使いすぎ・ゴシゴシ洗い
物理的な脱脂と摩擦は、赤みや色素沈着の原因になり得ます。
あぶらとり紙は1日2回程度まで。スクラブ入り洗顔料の毎日使用や、洗顔ブラシの強い使用も控えます。「つるつるになった」という感触は、角層を削っているサインのこともあります。
NG3:保湿を完全に省く
脂性肌でも保湿は必要とされています。
油分は控えめでよいのですが、水分保持のステップまで省くとインナードライを招きます。ベタつきが嫌な場合は、クリームではなくジェルや乳液を薄く、が現実的です。
NG4:自己流の刺激ケア・ニキビの圧出
ニキビを潰す、市販薬を規定量以上に使う、といった対応は跡が残るリスクを高めます。
面皰圧出は医療機関で器具を用いて行われる処置であり、自分の指で行うのとは条件が異なります。また、複数のピーリング製品を同時併用すると、刺激が過剰になりやすい点にも注意してください。
NG5:効果を焦って製品を次々変える
1〜2週間で見切りをつけると、合っている製品まで手放してしまいます。
判断は最低2週間、毛穴の見え方に関しては2〜3か月が目安です。同時に複数を変えないでください。
皮膚科で処方された外用薬を、乾燥や皮むけが出たからと自己判断で中止するのは避けてください。開始初期に一時的な刺激感が出ることは想定されており、使用量や頻度の調整で対応できる場合があります。まず処方した医師に相談してください。
よくある質問
脂性肌でも化粧水と乳液の両方が必要ですか?
必要とされています。化粧水で水分を補い、乳液やジェルで蒸発を防ぐ役割は脂性肌でも変わりません。ベタつきが気になる場合は、乳液の量を通常の半分程度にし、Tゾーンだけ薄く、頬はしっかり、と部位で使い分けてください。油分の多いクリームを全顔に厚く塗る必要はありません。
朝の洗顔は洗顔料を使うべきですか、ぬるま湯だけがよいですか?
起床時のテカリ具合で判断します。朝からTゾーンがしっかりテカる方は洗顔料、洗顔後につっぱりを感じる方はぬるま湯のみが目安です。どちらか迷う場合は2週間ずつ試し、日中のテカリと肌荒れの有無を比べてください。夜はメイクや日焼け止めを落とす必要があるため、洗顔料の使用が基本です。
皮脂を抑える効果が期待できる成分は何ですか?
ナイアシンアミドやビタミンC誘導体、サリチル酸などが皮脂や毛穴の悩みに関連して用いられることが多い成分です。ただし化粧品の効能表示には法令上の範囲があり、「皮脂分泌を抑える」と断定できるものではありません。効果の程度には個人差があり、刺激が出る場合もあるため、少量・低頻度から始めて様子を見てください。
美容皮膚科に行くタイミングの目安はありますか?
自宅ケアを2〜3か月続けても改善しない場合、または炎症を伴うニキビ・赤み・痛みがある場合が受診の目安です。炎症性のニキビは早めに治療したほうが跡を残しにくいとされているため、その場合は2〜3か月を待たずに受診してください。まずは保険適用のある一般皮膚科から相談すると、費用を抑えて判断できます。
ピーリングは自宅で毎日やっても大丈夫ですか?
毎日の使用は推奨されません。角層への刺激が蓄積し、赤み・乾燥・色素沈着につながる可能性があります。市販のピーリング製品は週1〜2回から始め、肌の反応を見て頻度を調整してください。使用中は紫外線の影響を受けやすくなるため、日焼け止めの併用が必要です。医療機関でのケミカルピーリングは通常2〜4週間隔で行われます。
脂性肌のケアは、①洗顔と摩擦を減らす ②水分中心の保湿を続ける ③2〜4週間単位で1要素ずつ検証する、が基本です。改善しない場合や炎症がある場合は、自費の美容医療より先に保険診療の皮膚科を検討してください。施術を受ける際は、総額・回数・ダウンタイム・リスクを書面で確認し、納得したうえで判断することをおすすめします。
本記事の内容は、日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」、厚生労働省「化粧品の効能の範囲」、消費者庁・国民生活センターの美容医療に関する公表情報を参考に整理しています。費用相場や治療の位置づけは変更される可能性があるため、最新情報は各機関の公式サイトおよび受診先の医療機関でご確認ください。
最終確認日:2026年8月8日
記載内容は一般的な情報であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。効果やリスクの現れ方には個人差があります。肌の状態にお悩みの方は、自己判断で対処を続けず、皮膚科医・美容皮膚科医のカウンセリングを受けたうえでご判断ください。




