- 市販の「ピーリング」化粧品(=ケミカルピーリングではない)
- 医師が処方した薬剤を自宅で自分で塗るホームピーリング(サリチル酸マクロゴール30〜40%)
- クリニックの院内ケミカルピーリング(20〜70%)
結論:自宅でできるのは「化粧品のピーリング」までで、手順は5ステップ
- クレンジング・洗顔で肌を清潔にする
- 目元・口元、傷や炎症のある部位を避けて塗布する
- 表示時間より大幅に短い時間から試し、規定時間内で洗い流す(または拭き取る)
- すぐに保湿する(化粧水+乳液・クリームで油分まで)
- 翌朝から日焼け止めを毎日使う
覚えておく数値は3つだけ
- グリコール酸3.6%:これを超える含有製剤は毒物及び劇物取締法上の劇物に指定されています(平成28年政令第255号、2016年7月15日施行)。市販品の濃度の天井は、メーカーの配慮ではなく法令で決まっています。
- サリチル酸100g中0.20g:化粧品基準による、すべての化粧品への最大配合量です(国民生活センター 2019年3月7日 報道発表資料が引用)。
- α-ヒドロキシ酸 濃度10.0%以下・pH3.5以上:FDAが化粧品として安全としている条件です(FDA Guidance for Industry, 2005年1月10日/同報道発表資料が引用)。厚生科学研究でも、pH3.0以上・グリコール酸濃度10%以下であればほとんど反応はみられないと報告されています。
自宅ピーリング3層マップ:あなたの選択肢は3つしかない

| ①市販の「ピーリング」化粧品 | ②医師処方のホームピーリング(自宅で自分で塗る) | ③クリニックの院内ケミカルピーリング | |
|---|---|---|---|
| 使える薬剤と濃度 | グリコール酸は3.6%超で劇物指定のため事実上3.6%以下<sup>[1]</sup>/サリチル酸は100g中0.20gが上限<sup>[2]</sup> | サリチル酸マクロゴール30%・40%<sup>[3]</sup> | AHA(グリコール酸・乳酸)20〜35%、サリチル酸20〜35%、TCA10〜20%。深い層はグリコール酸50〜70%、TCA35〜50%<sup>[4]</sup> |
| pHの目安 | FDA基準はpH3.5以上<sup>[5]</sup>。厚生科学研究はpH3.0以上を安全域とする | 医師が管理 | 低pH域。グリコール酸は濃度30%以上・pH2以下で浮腫・びらん・痂皮形成の危険性が高まる<sup>[4]</sup> |
| 到達する剥離深達レベル | レベル0〜1相当(角層の物理的除去) | レベル1〜2<sup>[4]</sup> | レベル1〜2、深いものはレベル3〜4<sup>[4]</sup> |
| 法的位置づけ | 化粧品。広告で「ケミカルピーリング」と表現できない<sup>[6]</sup> | 医師の処方=医薬品 | 医業(医事第59号)<sup>[7]</sup>。皮膚科専門医ないし同等の技術・知識を有する医師の十分な管理下で行うべき行為<sup>[4]</sup> |
| 1回あたり費用 | 583〜1,728円の実測例(フットケア商品5銘柄、2018年12月時点)<sup>[8]</sup> | 4,378円/6回分21,780円<sup>[3]</sup> | 全顔4,320円〜、顔+首 初回8,500円/2回目以降10,370円<sup>[9]</sup>、院内施術7,480円<sup>[3]</sup> |
| 推奨間隔 | 週1〜2回が製品側の一般的な表示 | 4週間毎に1回・平均8回<sup>[3]</sup> | 2週間以上あけて複数回<sup>[9]</sup>/4週間毎×平均8回、メンテナンスは1〜2カ月に1回<sup>[3]</sup> |
| 異常時に責任を持つ人 | 自己判断 | 処方した医師 | 施術した医師 |
濃度差は「10倍以上」ある
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ケミカルピーリングは剥離深達レベル1〜4に分類されています。市販の「ピーリング」化粧品が担うのはレベル0〜1相当の領域で、ガイドラインが想定する医療行為の手前にあります。
ホームピーリングという第3の選択肢:医師が処方した薬剤を自宅で塗る
市販品との決定的な違いは「誰が判断するか」
| 比較軸 | 市販品 | ホームピーリング処方 |
|---|---|---|
| 濃度 | グリコール酸 事実上3.6%以下 | サリチル酸マクロゴール30〜40% |
| 使う前の診察 | なし | 医師の診察・処方が前提 |
| 禁忌の確認 | 自分で判断 | 医師が確認(アスピリン・バファリン・サリチル酸でのアレルギーや喘息の既往、妊娠中・授乳中など) |
| 異常が出たとき | 自己判断で中止 | 処方医に相談できる |
検討する前に確認しておきたいこと
- 濃度30〜40%は、日本皮膚科学会ガイドラインが医療機関の剥離深達レベル1・2で用いるとする濃度帯(サリチル酸20〜35%)と同等以上です。自己流の使用が想定された薬剤ではありません。
- 施術間隔(4週間以上)は必ず守る前提で処方されています。「早く効かせたい」と間隔を詰める使い方は想定外です。
- 費用は上記が一例です。医療機関によって薬剤・濃度・価格・処方方針は異なるため、必ず受診先で確認してください。
ここで挙げた価格・濃度は特定の医療機関が公開している一例です。すべてのクリニックが自宅処方を行っているわけではありません。また効果の感じ方には個人差があり、適応の可否は診察した医師の判断が優先されます。
自宅ピーリングの「今すぐ中止」判定チェックリスト(遅発性トラブル対応版)
【使用中】1つでも該当したら、その場で洗い流す
- [ ] ヒリヒリ・チクチクする刺激感が強くなってきた
- [ ] 塗った部分が赤くなってきた(紅斑)
- [ ] 塗った部分がぷっくり腫れてきた(浮腫)
- [ ] 痛みを我慢している状態になっている
【使用直後〜24時間】1つでも該当したら使用を中止する
- [ ] 赤みが翌朝になっても引かない(持続する紅斑)
- [ ] 強いかゆみが続く(掻痒)
- [ ] 水ぶくれができている(水疱形成)
- [ ] 皮膚がただれている・えぐれている(びらん・潰瘍)
- [ ] 腫れが引かない
【2〜10日後】1つでも該当したら、自己判断せず皮膚科へ
- [ ] 予想以上の範囲で皮がむけている
- [ ] 皮がむけた下の皮膚が赤い・痛い・じくじくしている
- [ ] かさぶたができている(痂皮)
- [ ] むけた後に色素沈着(茶色いシミ状の変化)が出た
- [ ] 色が抜けて白くなった部分がある(色素脱失)
- [ ] ニキビが急に増えた・毛穴が目立つようになった
- [ ] 細い血管が浮いて見える(毛細血管拡張)
- [ ] 白い小さなブツブツができた(稗粒腫)
パッチテストで異常がなくても化学やけどは起こります。 国民生活センターの報道発表資料に掲載された医師コメントでは、「パッチテストはアレルギーで接触皮膚炎が起きるかを判定するものであって、化学やけどの発症を調べるものではない」と明確に指摘されています。「パッチテストをしたから安心」という説明は、この点を取り違えています。
「お風呂上がりに使う」は逆効果になり得る
- 接触時間が長いほど強くなる
- 温度が高いほど強くなる
- 密封状態であるほど強くなる
危険度を上げてしまう使い方
| やりがちな使い方 | なぜリスクが上がるか |
|---|---|
| 入浴直後に使う | 皮膚温が高く角層がふやけ、作用が強まる |
| ラップやシートで覆って置く | 密封状態は作用を強める条件そのもの |
| 「効かない気がする」と表示時間を延ばす | 接触時間の延長は作用を直接強める |
| 初回から表示時間いっぱい使う | 同資料の医師コメントは「初めて使用する場合は表示よりも大幅に短い時間から試す」ことを推奨 |
自宅で足りる/医師の管理が要る 判定チャート
STEP1:禁忌スクリーニング
- [ ] 妊娠中・授乳中
- [ ] ケロイド体質
- [ ] 使う部位にウイルス・細菌・真菌の感染がある
- [ ] 遮光(紫外線対策)が十分にできない生活状況
- [ ] アダパレンなどレチノイドを外用・内服している
- [ ] 免疫不全がある、または治療中の疾患がある
- [ ] 使う部位に手術・放射線治療の既往がある
- [ ] (サリチル酸系の場合)アスピリン・バファリン等のアレルギー、喘息の既往
STEP2:あなたの悩みに、ピーリングはどこまで推奨されているか
| 悩み | 推奨度 | 意味 |
|---|---|---|
| ざ瘡(ニキビ)の非炎症性皮疹 | グリコール酸 C1/サリチル酸マクロゴール C1 | 良質な根拠は少ないが、選択肢の一つ |
| 日光黒子の小斑型 | C1 | 良質な根拠は少ないが、選択肢の一つ |
| 肝斑 | 全薬剤 C2 | 十分な根拠がなく、現時点では推奨できない |
| ざ瘡の陥凹性瘢痕 | C2 | 十分な根拠がなく、現時点では推奨できない |
STEP3:使用条件の危険度を確認する
- [ ] 入浴直後(皮膚温が高い)に使おうとしている
- [ ] 密封して長時間置こうとしている
- [ ] その製品を使うのが初めてである
4つの出口
| 出口 | あてはまる人 | 次にすること |
|---|---|---|
| ①市販品でOK | STEP1に該当なし、悩みは軽いざらつき・くすみ | 週1〜2回、初回は短時間から。保湿とUV対策をセットで |
| ②医師処方のホームピーリングを検討 | 市販品で物足りない、自宅で続けたい、ニキビ(非炎症性皮疹)が対象 | 処方を行う医療機関を受診し、適応と禁忌を確認 |
| ③院内施術が必要 | 継続的な管理が必要、自己管理に不安がある | クリニックで診察を受け、間隔と回数の計画を立てる |
| ④ピーリング以外の治療を相談 | STEP1に該当あり、または肝斑・陥凹性瘢痕が目的 | 皮膚科で診断を受け、別の治療選択肢を相談 |
このチャートは判断の流れを整理したもので、診断の代わりにはなりません。最終的な適応の可否は、肌を診た医師の判断が優先されます。
注意点:個人輸入と、美容医療の相談動向
個人輸入で実際に被害が出ている
相談件数の推移
| 年度 | 美容医療サービス | 化粧品の危害 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 6,281件 | 3,319件 |
| 2024年度 | 10,744件 | 2,999件 |
| 2025年度 | 7,944件 | 2,847件 |
| 2026年度(5月31日現在) | 735件(前年同期910件) | 237件(前年同期294件) |
2025〜2026年の制度変更
- 2025年12月:医療法等の一部を改正する法律が公布。美容医療を提供する医療機関の管理者に、安全管理措置の実施状況、医師の専門医資格の有無、合併症・後遺症が起きた場合の患者相談窓口の連絡先などを年1回都道府県知事等へ報告する義務が新設されました(公布後2年以内の政令で定める日に施行=最遅2027年12月)。自由診療のみのクリニックも対象です。
- 2026年4月:改正医療法の一部が施行。美容医療・医療痩身でも診療録に「患者の主訴及び治療内容」の記載が必要となり、オンライン診療の実施基準が法律上明確化され、医療広告ガイドラインも改訂されました。
一方、化粧品側のルールは変わっていません。日本化粧品工業連合会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」は2020年版(2020年6月15日公開の第2刷)が最新で、「ケミカルピーリング」表現の禁止は現在も有効です。化粧品なのに「ケミカルピーリング」とうたう製品広告を見かけたら、ガイドラインに反した表示である可能性があります。
まとめ:自宅で「ケミカルピーリング」はできないが、選択肢は3つある
よくある質問
「ケミカルピーリング 自宅」で市販品を探しているのですが、どれを選べばいいですか?
「ピーリング 自宅 やり方」の基本手順を短く教えてください
ピーリングの頻度は自宅ならどのくらいが適切ですか?
ホームピーリングの処方は、どこで受けられますか?
グリコール酸の濃度は、市販品ならどこまで入っていますか?
パッチテストをすれば安全に使えますか?
市販品を使っても効果を感じません。濃度を上げればいいですか?
妊娠中・授乳中でもピーリングはできますか?
ここでの回答は公開情報にもとづく一般的な目安です。症状がある場合や適応の判断は、記事の内容より皮膚科医の診察を優先してください。
※本記事は公的機関・学会・医療機関の公開情報にもとづいて作成しています。法令・制度・料金の内容は変更される場合があります。




