まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意
この記事は研究結果を紹介するもので、診断や治療の代わりにはなりません。肝斑や治療中の肌のことは、担当の医師に相談してくださいね。
スマホと太陽光、肌に届く量はどれだけ違う?
- 強さの比較:The Conversation(2022年6月20日)は、英キングス・カレッジ・ロンドンの研究者による解説です。画面のブルーライトは太陽の100〜1000分の1の強さだったという研究を紹介しています。独Beiersdorf社(化粧品メーカー)の調査として「30cmの距離で画面を1週間見た量は、ハンブルクの真夏の正午の日光約1分にあたる」とも書いていますが、この調査の書誌は示されていません。
- 最新機種の実測:Charoenpipatsin et al.(Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology 18、2025年1月20日)は、iPhone 15 PlusやMacBook Air M2など計6台を、25〜50cmの距離で測りました。研究チームは、照射量は小さく、毎日使っても害が出るとは考えにくいと結論づけています。画面の前の時間が増えると屋外の時間が減る可能性があり、屋外では可視光の量がずっと多くなりうる、とも述べています。
- 肝斑の人での試験:Duteil et al.(JAAD 83(3):913-914、2020年)では、肝斑の人が高輝度のPC画面の光(420〜490nm)を1日8時間×5日間浴びても、肝斑は悪化しませんでした。この研究は抄録のない短報で、照射条件はCharoenpipatsin 2025の本文の引用で確認しました。
自分の1日で換算する:画面8時間と通勤20分

換算の式と前提
- 日光の曝露量(J/cm²)= 8.1mW/cm² × 秒数 ÷ 1000
- 8.1mW/cm²は、Li 2023(次の章で紹介)の研究チームが中国・雲南省の正午に測った、日光のブルーライト(400〜520nm)の強さです。
- 画面の光は、太陽の1/100〜1/1000として計算します。Beiersdorf社の「1週間≒1分」より画面を多めに見積もる側の値です。
モデルケースで比べてみる
| 場面 | 時間 | 日光に換算した時間 | 曝露量の目安(J/cm²) |
|---|---|---|---|
| 画面(スマホ・PC) | 8時間 | 約0.5〜4.8分 | 約0.23〜2.3 |
| 通勤(屋外) | 20分 | 20分 | 約9.7 |
| ランチの外出 | 15分 | 15分 | 約7.3 |
| 通勤+ランチ | 35分 | 35分 | 約17.0 |
- 画面8時間にナイトモード:Charoenpipatsin 2025では、明るさ100%・25cmで測った4機種の照射量が18.2〜62.7%減りました。上の表に当てはめると、減る量は約0.04〜1.5J/cm²です。
- 外の35分に色付き日焼け止め:Visser et al.の総説(Dermatology and Therapy 16(2):833-854、2026年)によると、酸化鉄を使うと、HEV(高エネルギー可視光)の透過を最大84〜97%減らせる可能性があります。当てはめると、減る量は約14.3〜16.5J/cm²です。
注意
日差しは季節・天気・時刻・場所で大きく変わります。雲南省の正午の値を使っているため、日本の朝夕は表より少なくなると考えられます。画面の値も機種や距離で変わります。
画面の光でシミができる条件はそろう?
量:日光42分ぶん以上の照射
紫外線の混ざり方:わずかなUVA1で濃くなる
肌の色:濃いめの肌ほど残りやすい
補足
フィッツパトリック分類は、日焼けしたときの反応などで肌をI〜VI型に分ける目安です。自分の型が気になる人は、皮膚科で確かめてください。
画面対策グッズとビタミンCはどこまで頼れる?
| 対策 | 防ぐ光源 | ヒトでのデータ | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 画面のナイトモード | 画面 | 照射量の実測のみ(肌の変化は未検証) | △ |
| ブルーライトカットフィルム・メガネ | 画面(メガネは目のまわりだけ) | 肌への効果は今回確認できず | △ |
| ビタミンCの美容液 | なし(塗る成分) | 可視光の色素沈着で差なし(下記) | △ |
| 酸化鉄入りの色付き日焼け止め | 太陽(紫外線+可視光) | 肝斑で5カ月の比較試験(次の章) | ◎ |
| 日傘・帽子 | 太陽 | 可視光での臨床データは今回確認できず | ○ |
ビタミンCで可視光のシミは防げなかった
「ブルーライトカット」の表示
肝斑・施術予定がある人は、画面の光をどう考える?
カウンセリングで確かめたいこと
- 自分のシミは肝斑か、ほかの種類のシミか
- 施術後、いつから色付きの日焼け止めやメイクを使ってよいか
- ダウンタイム中に、画面作業や窓際の席で気をつけることはあるか
- 美白の外用薬(チロシナーゼ阻害成分など)を組み合わせるか
注意
シミが急に広がった、形がいびつ、かゆみや出血がある場合は、肝斑以外の病気の可能性もあります。皮膚科で診てもらってください。
まだわかっていないこと:窓際・長期間・日本人の肌
- 窓ガラス越しの量:ガラスや日陰で可視光がどれだけ減るかの実測値
- 画面を長く浴びた影響:肝斑の人での試験は5日間まで
- 日本人の肌:III〜IV型での研究はあるものの、日本人の大規模なデータは見つかっていない
- 可視光の防御の測り方:日焼け止めの可視光防御を比べる統一基準
まとめ:自分の1日に合わせて対策を決める
| あなたの1日 | 優先する対策 |
|---|---|
| 在宅中心で、屋外はほぼない | 通常のUV対策で十分。画面のナイトモードは気になるなら使う |
| 通勤や昼休みで、屋外に20分以上いる | 外出前に酸化鉄入りの色付き日焼け止め。日差しが強い日は日傘・帽子 |
| 肝斑がある、または施術を予定している | 上の対策に加え、前の章の4項目をカウンセリングで確かめる |
注意
「20分以上」は本記事の換算をもとに置いた目安で、研究で決まった基準ではありません。




